2025年 子どもアドボカシーセンターOSAKAの代表理事からお話を伺う

2025年5月26日に、鈴木ゼミ・3回生の授業において、子どもアドボカシーセンターOSAKAの代表理事をされている奥村仁美さんをお招きして、ご講演と学生からのインタビューの時間をもちました。奥村さんとは、2024年においても鈴木ゼミ・3回生の学生さんと、当センターの事務所を訪問して、お話をお伺いしております。
ゼミの春学期の前半では、子どもの権利やアドボカシーについて、講義や演習を通して、学生同士で話し合いをしてきました。また、子どもアドボカシーセンターOSAKAの事前学習を踏まえた上で、奥村さんへのインタビュー質問項目をゼミ生全員で検討し、準備を進めてきました。

写真 奥村さんが講演をされている様子
奥村さんは、講演の中で、子どもの権利やアドボカシーの考え方や国内の動向、子どもアドボカシーセンターOSAKAの施設訪問活動の内容について丁寧に解説をしてくれました。この中で、例えば、施設訪問の際に、 「部屋割りを変えてほしい」と子どもから要望されたときに、どのようにアドボケイトが行動するかということが具体的にお話されました。
すなわち、部屋を変えることや個室にすることという願いがかなわないならば、自分のものをしっかり保管できる方法を子どもと考えること。職員の〇〇さんなら話せそうなので、一緒に伝えてもいいし、紙に書いて渡してもいいし、代わりに伝えることもできると、どのうように返事をするかも子どもと決めること。その後、返事がもらえているかをモニタリングすること。
子どもの思いを聴き、子どもの気持ちにふれるという、子どものviewを大事にすることの重要性について語られていました。

写真:学生が奥村さんに質問をする様子
後半は、学生から事前に検討したインタビュー項目の質問をしてもらいました。例えば、アドボケイトとして活動する上で最も困難な事例は何だったかということについて質問がなされました。奥村さんは、子どもの声を聴くこと及びその守秘義務の重要性と、子どもの安全に関わる場合の対応との間でジレンマを抱えた経験についてお話をしてくださいました。具体的には、一時保護所の子どもと話をする中で、子ども同士でその日の夜に一時保護所から脱走を計画していることを知り、誰にも言わないでほしいと言われたときがあったということでした。
このときは、子どもの意見を尊重し、施設職員には伝えなかったが、それが正しい判断だったかどうかと悩み、アドボカシーセンターで活動をするスーパーバイザーと相談し、対応方法について検討したことが話されました。結果的には、継続的に訪問し、子どもからなぜ、そのような計画を立てたのか、一時保護所に対してどのような思いを抱ているのかということについて思いを聞き続けることが重要だという結論に至ったということでした。
幸いなことに、子どもたちが脱走することはなく、一時保護所にいることに対して不安や不満があったため、その声に耳を傾けることによって、子どもたちも落ち着いていったことが話されました。改めて子どもの声を大事にすることに気づいたことが話されました。
貴重なお話をしてくださった奥村様には、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

